自動車OSSって何? ~自動車保有関係手続のワンストップサービスについて~
2005年(平成17年)12月より自動車保有関係手続のワンストップサービスが開始されてから十数年が経過し、年々利便性の向上する為に制度の改正や、登録可能な手続きが増え、ワンストップサービスで自動車保有関係手続をする行政書士の方々が増えて聞いている事を、サポートをする立場として実感しています。
行政書士の先生方から当社にお問合せをいただく内容も、「○○の申請手続きについて制度が改正されたことについて教えてほしい」といった専門的な質問や「そもそもワンストップサービスって何?」など初歩的な部分を知りたい方もいらっしゃいます。
そこで今回は、行政書士が申請する自動車保有関係手続のワンストップサービスについて紹介します。
目次
【自動車のワンストップサービス(OSS)とは】
はじめにワンストップサービス(One Stop Service)とは、複数の建物や部署に分散していた手続きやサービスを、手続きする窓口の1本化や、サービスを1箇所でまとめて受けられることなどを指し、行政の手続きや商業の購入形態で用いられます。ワンストップサービスの英単語の頭文字をとりOSS(オーエスエス)と呼称されています。なお以降ワンストップサービス表記はOSSとします。
・自動車保有関係手続のOSSとは
自動車保有関係手続に上記OSSの説明を当てはめた場合は以下の通りです
- 複数の建物や部署 = 警察署・運輸支局・都道府県の税事務所
- 窓口の一本化 = OSSポータルサイト
- サービスを1箇所 = インターネットバンキングでの電子決済
簡単に説明すると、車を止める場所(車庫)を警察署に届け出をして、承認後に運輸支局に訪問して自動車登録に必要な書類の提出や、手数料や税金の支払いを各関連機関に移動しながら印紙や証紙を買って支払いをしていた手続きがOSSをする事によって、OSSポータルサイトから車庫の届け出や自動車登録に必要な情報をデータで発信して、手数料や税金の支払いをまとめて電子決済をする事で移動を少なく、簡単に手続きが出来るようになりました。
・行政書士がする自動車保有関係手続のOSSとは
OSS申請には二種類の申請方法があります。
- 本人申請 … 自動車を保有したいユーザー自身がOSS申請をする申請方法
- 代理人申請 … ユーザーの代わりに行政書士などの代理人がOSS申請をする申請方法
自動車を保有するユーザー自らがOSSポータルサイトから自動車保有関係手続を申請するには難易度が高くOSS申請のほとんどが行政書士などの代理人が申請しており、そしてその申請方法がハイブリットOSSです。
・ハイブリッドOSSとは
自動車を保有したいユーザーの公的個人認証を紙の印鑑証明書や委任状等を活用して、本人から委任を受けた申請代理人(行政書士等)がOSS申請をする方法です。
OSS申請データ + 紙(印鑑証明書・委任状等) = 電子と紙のハイブリッドOSS
この背景として、2005年(平成17年)12月よりOSSが開始となり、この時は登録に必要な手続きを住基カードによる公的個人認証、税・手数料の納付を電子納付で一括して行うことを可能としていましたが、住基カードの普及が進まずOSS申請の手続きが伸び悩んでいました。
そこで国土交通省は2007年(平成19年)にOSSの利用率向上を図るため、個人認証は従来通りの紙の印鑑証明を利用し、データを電子的に申請する「紙と電子を併用」したハイブリッド方式を導入しました。このように年々OSSの利用率の向上を図るために国土交通省も制度を改正している為、OSS申請を実施する行政書士が増えています。
・OSS申請ができる代理人について
まず前提として自動車の保有関係手続を官公庁(運輸支局・警察署)にする場合、自動車を保有したいユーザーから事務手数料や報酬をもらって手続きができるのは行政書士法上、行政書士に限られます。これはOSSにおいても同じことが言えます。しかし2017年(平成29年)4月から、OSSの申請利用率向上の為に一部の申請手続きを行政書士法の適応除外として申請代理人として認められています。OSS申請ができる申請代理人と申請可能手続きは以下の通りです。
- 行政書士
- 一般社団法人日本自動車販売協会連合会(以下、自販連)
- 一般社団法人日本自動車整備振興会連合会(以下、日整連)
- 一般社団法人 全国軽自動車協会連合会(以下、全軽自協)
【OSS申請可能手続き】※2022.8月現在
- 新車新規登録 … 自販連
- 継続検査 … 自販連・日整連・全軽自協
- 全ての申請 … 行政書士
【自動車のワンストップサービス(OSS)の概要】
続いてワンストップサービス(One Stop Service)の利用可能時間や対象申請手続き、申請可能な条件をについて紹介します。
・OSS申請の利用可能な時間について
OSSは前提として24時間365日利用する事が可能です。
但し、申請はいつでもできますが、運輸支局や各機関の窓口が営業していないと審査に進みません。
年末年始と祝祭日を除く月曜日から金曜日の平日の窓口が営業している時間が審査の時間となりますのでご注意ください。
営業時間外での申請の場合は翌営業日の窓口が営業した時間の審査となります。
・OSSの対象申請手続きについて
2022年(令和4年)8月時点のOSS申請対象手続きとサービス対象地区は以下の通りです。
◎普通車
- 新車新規登録 … 自動車を新しく購入して自動車を初めて登録すること
- 中古新規登録 … 利用が一時中止された自動車を改めて利用する為に登録すること
- 移転登録 … 自動車が売買等によって所有者の変更が必要な場合に行う手続き
- 変更登録 … 所有者の氏名や住所、自動車を使用する本拠等を変更する場合に行う手続き
- 一時抹消登録 … 長期出張等、何かの理由で自動車の利用を一時的に中止する場合の手続き
- 永久抹消登録(還付なし) … 自動車をリサイクル業者等に渡して解体処分する場合の手続き
- 永久抹消登録(還付あり) … 上記手続きと併せて、自動車重量税還付の申請をする手続き
- 移転一時抹消登録 … 上記移転登録と一時抹消登録を当時に行う手続き
- 移転永久抹消(還付なし) … 上記移転登録と永久抹消登録(還付なし)を当時に行う手続き
- 移転永久抹消(還付あり) … 上記移転登録と永久抹消登録(還付あり)を当時に行う手続き
- 変更一時抹消 … 上記変更登録と一次抹消登録を同時に行う手続き
- 継続検査 … 自動車検査証の有効期間満了後も引き続き使用する場合の手続き。車検のこと
- 記載変更 … 使用者や車のサイズ変更など登録を伴わない車検証の記載内容を変更する手続き
- 輸出抹消仮登録 … 輸出をする為に既存の自動車を上記一時抹消登録する手続き
- 移転輸出抹消仮登録 … 上記移転登録と輸出抹消仮登録を同時に行う手続き
- 変更輸出抹消仮登録 … 上記変更登録と輸出抹消仮登録を同時に行う手続き
- 輸出予定届出 … 上記一時抹消登録後、輸出を行う為の届け出をする手続き
- 所有者変更記録 … 上記一時抹消登録後の所有者を変更する手続き
- 所有者変更記録解体等届出 … 上記所有者変更記録後、永久抹消登録をする手続き
- 所有者変更記録輸出予定届出 … 上記所有者変更記録後、輸出の届出をする手続き
◎継続検査
- 継続検査 … 普通車の継続検査と同様
◎サービス対象地区
高知県を除く46都道府県
※高知県は普通車と軽自動車の継続検査のみ対応
◎補足
普通車と軽自動車で記述している申請可能手続きの中でもOSSの仕様により対象車両の制限や手続き対象外の申請がある為、
『普通車OSSポータルサイト』と『軽自動車 OSSポータルサイト』で申請対象か確認のうえ申請をしましょう。
・OSSの申請可能な条件について
インターネット接続が出来るパソコンと指定のブラウザがあればご利用いただけます。
※行政書士が代理人としてOSS申請をする場合、その他準備をするものが幾つかあります。そちらについては別の記事にて紹介します。
◎補足
OSSを利用するにあたって、安全な通信を行う為のルート証明書の取得やJava・アプレットの実行環境等の設定をする必要があります。
手順については『普通車OSSポータルサイト』の『トップページ>はじめての方>事前のご準備』よりご参照ください。
【自動車OSSって何? まとめ】
自動車保有関係手続のOSSは、警察署や運輸支局の出頭や各関連機関の移動が簡略化され、税や手数料の支払いも簡単です。しかし、自動車保有関係手続をする為には専門知識を有する事から車を購入したユーザー本人がOSS申請をする事は現状容易ではありません。そうすると必然的に本人の代わりに申請をする代理人の需要が高まります。2023年1月より車検証が電子化になり、更なるOSS申請の普及が見込まれます。この記事をみてOSSにご興味がありましたらいつでも弊社にご相談ください。